この世界にはスキル適正と呼ばれるものがある。これはそのものの個性であり、あらゆる生物が所持している。その種類はこの様に分かれている。
☆力の適性
物理攻撃力に影響する。
強ければ重い物などが持てる。
☆器用さの適性
命中率に影響する。
弓や銃の精度が上がり攻撃を当て易くなる。
☆丈夫さの適性
物理防御力に影響する。
打たれ強くなる。
☆敏捷の適性
素早さに影響する。
速く動けるようになる。
☆知力の適正
魔法の攻撃力に影響する。
攻撃魔法の威力が上がり、効果範囲も広がる。
☆精神の適性
魔法の防御力に影響する。また、回復や補助の魔法にも影響する。
魔法に対する防御力が上がる。また、回復魔法や補助魔法の効果が上がる。
☆運の適性
運に影響する。
ドロップアイテムの獲得率、宝箱の遭遇率などが上がる。
☆魅力の適性
可愛さ、かっこよさ、リーダーシップなどに影響する。
歌い手、踊り子などの特殊効果が上がる。テイマーのテイム率も上がる。
★
「あ~あ。俺は力の適正か~」
「いいじゃない。そんなに悪くない適正だし。運の適性とかだったら、大変だったわよ」
「まあな~」
力の適性は汎用性があり悪いものではない。しかし、所持者が多く平凡な適正と呼ばれる。
「それに、私の精神の適性と相性がいいんだから、これなら今すぐにでも二人でパーティーを組めるわよ!」
それを強調したミカは、自分を売り込むためにアルに顔を近づける。お子様なアルは、その顔を両手で押し返す。ミカはむっとし、
「アルのバカ…」
女心の分からないやつだと、両頬を膨らませた。
「そうだな。力の適性はそんなに悪いものじゃないし、我慢するか!」
「ご飯できたわよ~」
アルが話をすると、一階から声が届いた。
「は~い。今行く~! アル、行きましょ」
「ああ、腹減ったしな!」
それほど悪くはない結果に二人は満足し、階段を下りていく。
お昼を食べたあとの二人は、街をぶらついている。今日はスカイボールの決勝戦が開催され、今は試合が終わり街中は花火が上がりお祭り騒ぎだ。
「何か食べよ!」
「さっき昼を、食べたばかりだろ」
「デザートよ。デザート!」
甘いものは別腹なミカは、近くの出店からクレープを二つ買う。
「はい。イチゴで良かったでしょ?」
「チョコレートの方が良かったんだが…」
「嘘ばっかり。イチゴの方が好きなくせに」
ミカがお揃いの美味しそうなイチゴのクレープを差し出し、アルは顔を横に背けてそれを受け取る。ミカの言う通り、アルはただ、男でイチゴ味のクレープを食べながら大勢の人混みの中を歩くことが、恥ずかしいだけだった。なんとも歯がゆい。
賑わう街中をぶらついていると、一人の男が大慌てで大通りの人混みの中を駆け抜けて行く。額から大量の汗を流し、その姿はタダならぬものを感じさせる。
「どうしたんだ?」
「何かあったのかしら?」
男を視線で追うと、どうやらギルドに向かっているようだ。
「行ってみる?」
「当然!」
15歳のアルはまだまだ、好奇心旺盛だ。
「ちょっと、待ってよ~」
駆け出したアルに、ミカは仕方がないと声を掛けた。2人は先程の男を追いかけ始めた。

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