2023年8月1日火曜日

5.スキル適正と駆ける男

 


 この世界にはスキル適正と呼ばれるものがある。これはそのものの個性であり、あらゆる生物が所持している。その種類はこの様に分かれている。


☆力の適性


 物理攻撃力に影響する。


 強ければ重い物などが持てる。



☆器用さの適性


 命中率に影響する。


 弓や銃の精度が上がり攻撃を当て易くなる。



☆丈夫さの適性


 物理防御力に影響する。


 打たれ強くなる。



☆敏捷の適性


 素早さに影響する。


 速く動けるようになる。



☆知力の適正


 魔法の攻撃力に影響する。


 攻撃魔法の威力が上がり、効果範囲も広がる。



☆精神の適性


 魔法の防御力に影響する。また、回復や補助の魔法にも影響する。


 魔法に対する防御力が上がる。また、回復魔法や補助魔法の効果が上がる。



☆運の適性


 運に影響する。


 ドロップアイテムの獲得率、宝箱の遭遇率などが上がる。



☆魅力の適性


 可愛さ、かっこよさ、リーダーシップなどに影響する。


 歌い手、踊り子などの特殊効果が上がる。テイマーのテイム率も上がる。



 ★



「あ~あ。俺は力の適正か~」


「いいじゃない。そんなに悪くない適正だし。運の適性とかだったら、大変だったわよ」


「まあな~」


 力の適性は汎用性があり悪いものではない。しかし、所持者が多く平凡な適正と呼ばれる。


「それに、私の精神の適性と相性がいいんだから、これなら今すぐにでも二人でパーティーを組めるわよ!」


 それを強調したミカは、自分を売り込むためにアルに顔を近づける。お子様なアルは、その顔を両手で押し返す。ミカはむっとし、


「アルのバカ…」


 女心の分からないやつだと、両頬を膨らませた。


「そうだな。力の適性はそんなに悪いものじゃないし、我慢するか!」


「ご飯できたわよ~」


 アルが話をすると、一階から声が届いた。


「は~い。今行く~! アル、行きましょ」


「ああ、腹減ったしな!」


 それほど悪くはない結果に二人は満足し、階段を下りていく。





 お昼を食べたあとの二人は、街をぶらついている。今日はスカイボールの決勝戦が開催され、今は試合が終わり街中は花火が上がりお祭り騒ぎだ。


「何か食べよ!」


「さっき昼を、食べたばかりだろ」


「デザートよ。デザート!」


 甘いものは別腹なミカは、近くの出店からクレープを二つ買う。


「はい。イチゴで良かったでしょ?」


「チョコレートの方が良かったんだが…」


「嘘ばっかり。イチゴの方が好きなくせに」


 ミカがお揃いの美味しそうなイチゴのクレープを差し出し、アルは顔を横に背けてそれを受け取る。ミカの言う通り、アルはただ、男でイチゴ味のクレープを食べながら大勢の人混みの中を歩くことが、恥ずかしいだけだった。なんとも歯がゆい。





 賑わう街中をぶらついていると、一人の男が大慌てで大通りの人混みの中を駆け抜けて行く。額から大量の汗を流し、その姿はタダならぬものを感じさせる。


「どうしたんだ?」


「何かあったのかしら?」


 男を視線で追うと、どうやらギルドに向かっているようだ。


「行ってみる?」


「当然!」


 15歳のアルはまだまだ、好奇心旺盛だ。


「ちょっと、待ってよ~」


 駆け出したアルに、ミカは仕方がないと声を掛けた。2人は先程の男を追いかけ始めた。


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