2023年12月13日水曜日

17.二匹目

 

 クロムとバリアントの戦闘が始まる。


 クロムはAランクの冒険者だ。バリアントと言えど、一層に現れる奴に後れを取ることはない。ハサミの攻撃を軽く躱しながら、それを切り飛ばす。


「すご~い!」


「私達なら、あれぐらい平気だよ~」


「うん」


 ミカ達は驚いているが、キキとミルフィーはリラックスしている。


「そっ!」


『ドスン!』


 アルが何か言い掛けたがその時、隣にある大岩の上から二匹目のバリアントが飛び降りた。


 すぐさま、ミルフィーがその場から飛び退く。ミルフィーもブルーウォークのパーティーメンバーだ。普段はおっとりしいて弱く見えるが、戦闘能力は高い。しかし、未熟なアルとミカはその場に取り残される。


「きゃーーー!」


「どうした!?」


 ダンジョン内にミカの悲鳴が響き渡る。声を上げたクロムが振り向き、ミカに狙いを定めたバリアントが腕を大きく振り上げる。キキがそれを許すはずがなく、咄嗟に二丁の拳銃を構える。


「チッ!」 


 しかし、怯んだアルが射線上に重なり舌打ちした。


「ミ…、ミカー!」


 振る声を上げたアルは、咄嗟にミカに肩でぶつかりその場を入れ替わる。バリアントの振り上げた腕がアルを襲う。


『パン! パン!』


「これって…」


『ガキン!』


 アルは呟きながら頭上に構えた剣でそれを受け止めたが、そのまま大きく吹き飛ばされた。


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2023年11月27日月曜日

16.バリアント

  

 今の戦闘で、クロムは二つの槍のスキルを使った。


 この世界にはスキルと呼ばれる技がある。その種類は武器系統で変わり、いくつかある。


 ライジング・サンは、前方に槍を構えたまま直進してその衝撃で相手にダメージを与える。移動中は、空中に浮いた状態になる。


 サンダー・ランスは、頭上で槍を振り回して雷のような電撃で相手にダメージを与える。ライジング・サンより威力は低いが、範囲は円形状で広範囲になる。


「おまえら、まだだ!」


 クロムが叫んだ。ダンジョンの奥から、ゆっくり歩いて来る物体が居る。


「あれが、バリアントだよ~」


 キキの話に、アルとミカが大きく驚いている。


 バリアントは、ダンジョンが発生した時に稀に現れる突然変異したモンスターだ。体はコセよりも遥かに大きく、強さも格段に上がる。


「ここのバリアントは、クラブタイプ見たいです」


 ミルフィーは、ぎゅっと杖を握りしめている。


 クラブタイプは、所謂カニのような体型のコセだ。両腕がカニのハサミのようになっている。背丈はクロムと同程度だが、横幅は足まで入れるとその数倍はある。


「でっかいな!」


「あんなの、倒せるの!?」


「カッコいい~」


 アルとミカが驚いている最中、キキの瞳がきらりと光る。機械好きな心が、疼くのであろう。


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2023年11月15日水曜日

15.コセ


 「古代生物って機械なのに、何で生物って呼ぶの?」


「そ、それは…」


「古代機械じゃあ、よく分からないからよ。古代兵器って呼んでも、なんかしっくりこないし。それに、あいつらは何かの意志を持って動いてるように見えるの」


「何かの意思って?」


「それは…」


「右からコセだ!」


 アル達はクロムたちに合流し、ミカがミルフィーに尋ねた。もじもじと答えられないのを見かねたエルルが説明し、ミカが再び首を傾げて尋ねた。返事を戻そうとする中、いち早く奴らに気付いたクロムが叫んだ。ちなみに、古代生物では名前が長いので、省略をしてコセと呼ばれている。


『ガシャガシャガシャガシャ』


「任せろ」


 ぞろぞろと群がるコセたちを目にしたグレンが、動じずに小さく応えた。普段無口だが戦闘中は声を出すようだ。


「前も気を付けて! 奴らは、たまに集団で襲って来るから!」


「前からも来ました!」


「マックス! 全員を守れ! 俺が、道を開けてくる!」


「無理すんじゃないわよ~!」


 エルルが注意を飛ばし、ミルフィーが応えた。クロムは指示を飛ばし、エルルが声を掛けた。


【ライジング・サン!】


 クロムはスキルを使った。電気を帯びたように体が輝き、高速で前方の群れを突き破る。


【サンダー・ランス!】


 続けて槍を頭上で回転させ、放たれた稲光で周囲の奴らを一掃した。


「やっぱり、クロムは強いなー!」


「あっという間に、倒しちゃったわ!」


 アルは憧れの眼差しで、ミカは驚いた表情でクロムの姿を見ていた。


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2023年11月9日木曜日

14.古代生物

 

 アル達は洞窟側を直進する。鉄板側は足元が滑るためだ。そして、しばらく進むと、


『カシャカシャカシャ』


「止まれ!」


 クロムが右腕で皆を制止させた。


「ここは、あいつらが居るのね」


「らしいなっ!」


『グシャン!』


 エルルが話し終えると同時に、クロムが叫びながら前方の暗闇に飛び込み何かを潰した。


「こいつは、めんどくせえな」


「ねえ、アル。私、見えないんだけど…」


「俺も、見えない…」


 クロムが呟くと、ミカとアルが言葉を交わした。周囲が薄暗いためクロムの行動が見えかったようだ。


「あっ。そう言えば、ダンジョンは初めてだったわね。ミルフィー。お願い」


「は、はい!」


【ライト】


 エルルの話に応えたミルフィーが、ライトの魔法を使った。光の球が上空に浮かび周囲を照らす。クロムは槍に何かを突き刺し、アル達の方へ飛ばす。


『ガシャン!』


「なっ、何だこれ!?」


「何よこれ!?」


 アルはそれに近付き、ミカはたじろいだ。


「古代生物です。ここは古代生物のダンジョンみたいです」


「古代生物?」


「魔物じゃないの?」


「はい。古代生物は機械のような体をしていて、魔物とは少し違います」


「魔物は生き物。古代生物は機械~」


 ミルフィーが説明するとアルとミカは首を傾げた。更にミルフィーが説明を付け加え、キキが古代生物と呼ばれるものに歩み寄る。それ持ち上げたキキは匂いを嗅ぎながらうっとりし、初めて表情を露わにする。


「いい匂~い」


 キキは銃を扱うからか、この匂いが好きなようだ。


「おまえら、置いて行くぞ!」


 クロム達は先に進んでいた。アル達は急いでそのあとを追う。


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2023年11月4日土曜日

13.ダンジョン内部

 

「中も他と変わらないわね」


「入り口から、想定済みだ」


 エルルとロンドが辺りを見回している。


 ダンジョン内は半分が岩でできた洞窟で、残り半分が鉄板が張られたような作りになっている。天井は洞窟側が5メートル程で、鉄板側は高すぎて上まで見通せない。所々から突き出た岩が光を放ち、辺りを薄っすらと照らしている。


「ここは当たりだな」


「そうね。暑くもないし寒くもないし、おまけに明かりまで付いてるんだから、ここは期待できそうね」


 ダンジョンはここのように、環境が良いという訳ではない。他のものは灼熱地帯や極寒のものあり、それプラス真っ暗闇という場所もある。このダンジョンは環境の良いダンジョンと呼べる。


「俺が先頭行く。キキとミルフィーはアル達の護衛で、マックスは殿だ。エルルとグレンはいつも通り、全体のサポートをしろ」


「わかったよ~」


「頑張ります!」


「「お願いします!」」


「了解ですな」


「わかったわ」


「…」


 グレンは返事を戻さずに頷いた。


「よ~し。奥に進むぞ!」


 クロムは周囲を威嚇をするように、声を張り上げた。


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2023年11月3日金曜日

ファンタジー・SF小説 1位 受からないアドセンス【雑記】

 

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これでも、Googleアドセンスに不合格になります。

ちょっと審査が厳し過ぎない?

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2023年10月28日土曜日

12.渦

 

 先を行くクロムが地上に降りて行く。どうやら目的地を見つけたようだ。アル達は少し遅れて、クロムの立っている場所に到着する。


 アルはボードから飛び降りて、クロムの横に並び立つ。


「これがダンジョンなのか?」


「そうだ」


 黒光りを放つ半径2メートルほどの渦が、空中に浮かんでいる。これがこの世界のダンジョンの入り口だ。


「あまり大きくないわね」


「聞いてた通りだな。この程度なら問題なく中を調べられそうだ。おい、お前ら! 支度しろ!」


「はい!」


「は~い」


 エルルがクロムの隣に立ち話かけると、クロムは応えながら皆に指示を飛ばした。ミルフィーがはっきり返事を戻し、キキが手を上げて応えた。それを合図に他のメンバーも動き出し、自分たちの装備の確認を始める。


「クロム」


「何だ?」


「乗り物はどうするんだ?」


 アルが乗り物に顔を向ける。


「ああ…。キキ、乗り物をお願い!」


「わかった~」


 隣に居るエルルが応え、キキが緩く返事を戻した。キキは乗ってきた乗り物の前で腰に付けている小型の箱を外し、蓋を開く。


【ストレージ~】


 そう声を出すと、目の前の乗り物が箱の中に消えた。側に居るミカが驚いている。


「なっ、何だあれ!?」


「アーティファクトよ。名前くらいは、聞いたことあるでしょ?」


「あれが、アーティファクトか!」


 アルも驚いたが、エルルの話で興奮し始める。この星にはアーティファクトと呼ばれる物が存在する。


 アーティファクトは古代文明の遺産とも呼ばれ、各地の遺跡やダンジョンなどで発見されることが稀にある。とても貴重な物のだが、クロムたちはそれをいくつか持っている。


「よ~し、お前ら~。中に入るぞ!」


「ですな!」


「しかたない。やるか」


 支度が終わりクロムが声を掛けると、マックスとグレンが返事を戻した。こうして、発見されたばかりのダンジョンの調査が始まった。


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17.二匹目

   クロムとバリアントの戦闘が始まる。  クロムはAランクの冒険者だ。バリアントと言えど、一層に現れる奴に後れを取ることはない。ハサミの攻撃を軽く躱しながら、それを切り飛ばす。 「すご~い!」 「私達なら、あれぐらい平気だよ~」 「うん」  ミカ達は驚いているが、キキとミルフィ...