先を行くクロムが地上に降りて行く。どうやら目的地を見つけたようだ。アル達は少し遅れて、クロムの立っている場所に到着する。
アルはボードから飛び降りて、クロムの横に並び立つ。
「これがダンジョンなのか?」
「そうだ」
黒光りを放つ半径2メートルほどの渦が、空中に浮かんでいる。これがこの世界のダンジョンの入り口だ。
「あまり大きくないわね」
「聞いてた通りだな。この程度なら問題なく中を調べられそうだ。おい、お前ら! 支度しろ!」
「はい!」
「は~い」
エルルがクロムの隣に立ち話かけると、クロムは応えながら皆に指示を飛ばした。ミルフィーがはっきり返事を戻し、キキが手を上げて応えた。それを合図に他のメンバーも動き出し、自分たちの装備の確認を始める。
「クロム」
「何だ?」
「乗り物はどうするんだ?」
アルが乗り物に顔を向ける。
「ああ…。キキ、乗り物をお願い!」
「わかった~」
隣に居るエルルが応え、キキが緩く返事を戻した。キキは乗ってきた乗り物の前で腰に付けている小型の箱を外し、蓋を開く。
【ストレージ~】
そう声を出すと、目の前の乗り物が箱の中に消えた。側に居るミカが驚いている。
「なっ、何だあれ!?」
「アーティファクトよ。名前くらいは、聞いたことあるでしょ?」
「あれが、アーティファクトか!」
アルも驚いたが、エルルの話で興奮し始める。この星にはアーティファクトと呼ばれる物が存在する。
アーティファクトは古代文明の遺産とも呼ばれ、各地の遺跡やダンジョンなどで発見されることが稀にある。とても貴重な物のだが、クロムたちはそれをいくつか持っている。
「よ~し、お前ら~。中に入るぞ!」
「ですな!」
「しかたない。やるか」
支度が終わりクロムが声を掛けると、マックスとグレンが返事を戻した。こうして、発見されたばかりのダンジョンの調査が始まった。

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