街の外に出ると、大きな荷台の付いた乗り物と小さ目な2つの乗り物が用意されている。アルとミカは、キキとミルフィーに付いて行く。
「私達は、これで行くよ~」
キキが小さ目な2つの乗り物を紹介する。乗り物は2、3人が乗れるほどのサイズの板で、地面からは少し浮いている。前の部分には、上部が丸い形をした
舵取りのポールが立てられている。
「運転中は落ちないように、私達に掴まってね~」
「ミカちゃんは私の後ろに乗って」
キキとミルフィーはそれだけ伝えると、板の上にぴょんと飛び乗る。勢いで
板が揺れることなく、安定した乗り物のようだ。アル達もそれに続いて板の上にぴょんと飛び乗る。
「それじゃ~、出発するよ~」
「ちょ、ちょっと!?」
急発進でバランスを崩し、アルはキキにしがみつく。
「アルちゃん。私の大事なところは触らないで~」
小さな二つの山を握られたキキは、無感情な声でアルに注意した。
「わわっ! ご、ごめんなさい…」
アルは顔を赤くした。
「あいつ~! どさくさに紛れて、何やってるのよ! いやらしいわね~キャッ!」
「ミカちゃん、落ち着いて。あんまり動くと落ちちゃうよ…。あと、大事なところは握らないで欲しいな…」
「あっ! ご、ごめんなさい…」
アルを睨み付けたミカは、バランスを崩した。大きな二つの山を握られたミルフィーは、恥じらいながら頬を赤くした。アルとミカの息は、バッチリなようだ。
「俺達が、先頭でいいのか?」
「大丈夫~。すぐに追い越されるから~」
アルがキキの腰にしがみつきながら後ろに振り向くと、クロムが頭上を通り過ぎる。
「おう! アル、ミカ、腰が引けてるぞ! 背筋をもっと伸ばして、重心を前に倒せ!」
「こ、こうか?」
「こうかしら?」
上空のクロムは空いている両手でここだと腰を叩き、アルとミカは背筋を伸ばす。二人はは自然にバランスが取れていき、体の力が抜ける。見届けたクロムは加速し、アル達の遥か前方に消えていく。
「お~い! ですな~!」
後方の乗り物から、マックスが手を振っている。合流した空中に浮かぶその乗り物には、マックスとエルルが前に座り、後ろの荷台にグレンと荷物が乗っている。
「クロムは、先に行ったかしら?」
「うん。先に行ったよ~」
「そう。それなら、私達も先を急ぐわ」
アル達はクロムを追いかけるように、そこから更にスピードを上げた。

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