2023年10月19日木曜日

10.集合

 

「うおぉぉぉっ! どうなってるんだこれ!?」


「この盾は、スタミナを消費する代わりにバリアを作り出すのですな」


「俺にもやらせてくれ!」


「いいともですな! 但し、成功するかは別ですな」


「わりー、わりー。遅れた」


 アルとマックスが会話を弾ませているとクロムが現れた。今は大きく欠伸をしている。


「遅いわよ!」


「おっ、怒んなよ! こいつの調子が少し悪くて、手間取ったんだ…」


 エルルが怒鳴り、クロムはスケートボードのような板を地面に突き立てた。


「昨日の内に、手入れしておかないからでしょ?」


「やったさ~。昨日は平気だったんだ。今朝、突然調子が悪くなってよ!

それで遅れたんだよ~」


 クロムはあまり反省していない様子だ。


「はあ…。まあ、いいわ。二人には今日の予定は伝えておいたから」


「お、サンキュー。流石、エルルだ!」


「褒めたって、何も出ないわよ!」


 クロムがエルルに顔を近付けた。怒ったような口ぶりで顔を背けたエルルだが、その頬は赤い。


「お~怖。二人共、悪かったな」


「いいよ、別に」


「私も。何となくクロムのことが分かったから」


「おい、おい…」


「クスクス」


 ミカは目を閉じて何かを悟っている。クロムは困惑し、それを見たエルルは声を殺しながら笑いを堪えている。


「ともかく! さっそく出発するか!」


「ええ!」


「行きますかな!」


「ようやくか!」


「行こう~!」


「頑張ります!」


 クロムの号令に、エルル、マックス、グレン、キキ、ミルフィー順に声を上げた。アルとミカは、憧れの眼差しで皆を見つめていた。


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