「うおぉぉぉっ! どうなってるんだこれ!?」
「この盾は、スタミナを消費する代わりにバリアを作り出すのですな」
「俺にもやらせてくれ!」
「いいともですな! 但し、成功するかは別ですな」
「わりー、わりー。遅れた」
アルとマックスが会話を弾ませているとクロムが現れた。今は大きく欠伸をしている。
「遅いわよ!」
「おっ、怒んなよ! こいつの調子が少し悪くて、手間取ったんだ…」
エルルが怒鳴り、クロムはスケートボードのような板を地面に突き立てた。
「昨日の内に、手入れしておかないからでしょ?」
「やったさ~。昨日は平気だったんだ。今朝、突然調子が悪くなってよ!
それで遅れたんだよ~」
クロムはあまり反省していない様子だ。
「はあ…。まあ、いいわ。二人には今日の予定は伝えておいたから」
「お、サンキュー。流石、エルルだ!」
「褒めたって、何も出ないわよ!」
クロムがエルルに顔を近付けた。怒ったような口ぶりで顔を背けたエルルだが、その頬は赤い。
「お~怖。二人共、悪かったな」
「いいよ、別に」
「私も。何となくクロムのことが分かったから」
「おい、おい…」
「クスクス」
ミカは目を閉じて何かを悟っている。クロムは困惑し、それを見たエルルは声を殺しながら笑いを堪えている。
「ともかく! さっそく出発するか!」
「ええ!」
「行きますかな!」
「ようやくか!」
「行こう~!」
「頑張ります!」
クロムの号令に、エルル、マックス、グレン、キキ、ミルフィー順に声を上げた。アルとミカは、憧れの眼差しで皆を見つめていた。

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